黄砂 '08/3/4 ビルも山並みも、すっぽり黄色いもやに包まれている。広島市の平和記念公園でも、つやつやしたツバキの葉に触れると、指先にうっすら汚れが付いた。きのう、西日本各地に今年初めて飛来した黄砂の仕業だ▲中国からモンゴルに広がるゴビ、タクラマカン砂漠や黄土地帯で巻き上げられた砂塵(さじん)が、偏西風で運ばれ、地上に降り注ぐ。冬と春がせめぎ合うこの季節は、砂嵐を起こす低気圧が発達しやすい。あまりうれしくない「春の便り」でもある▲それにしても、昨今は異常に多い。広島地方気象台のデータを見ても、二〇〇〇年から昨年までを平均した年間観測日数は十六日余り。年ごとの変動はあるにせよ、一九九〇―九九年の二倍という数字は、やはり気になる▲黄砂の原因として見逃せない中国の砂漠化。草地の荒廃や森林伐採に加え、地球温暖化も絡んでいるらしい。黄砂防止の点から注目を集めているのが、鳥取大名誉教授だった故遠山正瑛さんらの緑化の取り組みだ▲中国・内モンゴル自治区の砂漠で、遠山さんら日本人ボランティアと住民が協力し、十五年間で三百万本以上のポプラを植林した。写真で見ると、見違えるような緑の森になっている▲「できるところからする」が遠山さんの口癖だったという。五月中旬には現地で、歩みを振り返る日中サミットが開かれる。地元の市人民政府のほか、日本側からは鳥取県や鳥取大も加わる。よみがえった森から、どんな便りが届くだろうか。